2. 1月11日 北京・故宮

午前6時起床

 出発が早いので、素早く支度して朝食を摂る。朝食はラッキーなことに、アメリカ式バイキングだ。前回の中国旅行は三食とも中国料理だったので結構つらかった。味は、可もなく不可もなくというところ、ヨーグルトは、なかなか美味しかった。初日なので生ものは敬遠した。

出発準備が整うと、時間まで朝の散歩に出る。ホテルの玄関でドアボーイに自然博物館の場所を尋ねる。どうやらあまり良く知らないらしい。がやがや、やっていたら、たむろしているタクシーの運転手がやってきた。初めは、私の発音が悪く、通じなかったが、なんとか方角が分かった。歩いてどの位の時間がかかるか、と聞いたら、その場にいた運転手が全員どっと笑った。なんと歩きでは2時間もかかるらしい!え〜っ?いったい、この地図(ホテル備え付けの)のスケールはどの位なのかなあといぶかる。とりあえず諦めて、ホテルの前の南菜園路を北へ向かい、途中で右に折れる。出勤の人が歩きや自転車でやってくる。三輪自転車にドラム缶のような形をした釜を乗せたり、屋台の自転車を2人がかりで押していく人、美味しそうな肉まんを、載せて湯気を上げながらゆっくり北京市に中央部に向かう人などがやってくる。すごく、いい雰囲気だ。そろそろ、出発時間、ホテルへ戻ってバスに乗る。北京市内の交通事情はお世辞にもいいとは言えない、車優先の社会の中を人も自転車もオートバイもルールを守らない。外国人観光客がひき殺されても20万円の世界だ。

 今日の観光は、ご多分に漏れず天安門広場からスタートだ。ホテルから、バスで20分位走る。なるほど地図上で見た感覚とはほど遠い。多分、10キロ位は走っているだろう。道理で自然博物館へ歩いて行くと言えば笑われるはずだ。バスを降りて徒歩で天安門広場へと進む。地図売りのおばさんが声をかけてくるが誰も振り向きもしない。私はいつも地図を買うことにしているので値段を聞いてみたら、2元とお安い(定価は4元)、さっそく一枚購入する。最初の買い物だ。ホテルの無料地図より、遙かに詳しい。広場へ到達する寸前の道路で現地ガイドが、声をかける。皆さん、止まって下をごらんください。そこには幅20センチ長さ50センチ位の水道メーターの蓋みたいなものが1メートルくらいの感覚でいくつも並んでいた。「これはなんだと思いますか?」誰もが答えられずに黙っていると「天安門広場には一度に50万人もの人が入れます。するとどうなると思いますか?」答えはトイレでした。囲いもしきりもない歩道の真ん中に、いざという場合のトイレが用意されているのでした。ガイドに続いて天安門広場へと入っていく。この広さはなんと表現すればいいのか?東京ドーム10個が楽にはいるという広さ。この広さは、想像を絶する。ちらほらと凧が揚がっているが、遠すぎて、どの人が揚げているのかさえもわからない。一行は天安門の方へ歩いていく。やがて巨大な毛沢東の肖像画のかかった天安門の前についた。天安門の前は片側5車線位の非常に広い道路だ。車も多く、歩いて横断するのは、ほとんど自殺行為に等しい。そこは良くできた物で、ちゃんと地下歩道があった。

 

天安門

地下歩道を渡って天安門の目の前に行く。実に巨大だ。遠くからは目立たなかった毛沢東の肖像画は高さが5〜6mはあるだろう。改めて、その全貌の巨大さに驚く。天安門をくぐると、ここは故宮、有名な紫禁城だ。ここは天安門広場よりさらに数倍の広さがあり、部屋数だけでも9999室もあるそうだ。なぜ9999なのかというと、中国では9と言うのが縁起のいい数だそうで、皇帝の座った玉座などにも9匹の龍が彫られていたりする。部屋数も膨大なので未だに手を付けられず、まったく調査されていない部屋もかなりあるらしい。我々に許された時間はわずか2時間、とても自由にあちこち見て回る余裕はない。一番前の天安門から午門、太和門、太和殿、中和殿、保和殿と駆け足で進む。いずれも大きく素晴らしい物ばかりだ。ここまでは国政に関わる行事が行われて場所で、その奥には皇帝や皇后等の居住区になっている。保和殿から見下ろす居住区は無数の屋根が連なり、その広さの一端を垣間見ることができる。なんとも恐ろしい広さだ。(面積は72万平方米)こちらの居住区の方へくると、若干の樹木が植えてあり、すこしほっとする。行政区の部分には延焼を防ぐために、あえて樹木を植えていないそうだ。ほとんど駆け足での見学だったが、次回訪れるときはもっとゆっくり見てみたい。最後に土産物屋に連れて行かれた。さほど欲しいと思った物は無かったが、私の好きな中国凧が、あったので冷やかしている内にかなり安くしてくれたので、連凧の一種である龍の凧と息子が欲しがった鳥の凧を購入した。龍の凧は一つ250元、鳥は100元と言うものを龍は展示品で埃だらけだったのと、一部破損してしまったので、龍2つと鳥1枚で230元。

故宮博物院

神武門を出てバスで昼食のレストランへ向かう。(美麗都大飯楼)一テーブルに白酒のミニボトルが1本サービスになっていた。ややや?これは北京の地酒”二鍋頭酒(アーグォトゥジュウ)”日本でも飲んだことがあるが、56度の強烈な酒だ。同席の方が封を切って注いでくれた。日本で飲んだ紅星印のものより美味しい。製造元が違うみたいだ。緑色の瓶に入った○成酒業というブランドだ。(○の部分は日本には無い漢字で、“さんずい“にカタカナのコの時を左右反転した形で、日本では”語彙”の彙という漢字)

やはり、日本人には飲み慣れないのだろう。誰も、味見だけでおかわりする人はいなかった。今夜の寝酒に残りをもらっていくことにした。心配していた息子の賢だが、そこそこに食べることが出来て、私も一安心。

 食後は故宮の真後ろ(北側)にあたる景山公園へ向かう。高さ、およそ90m程の小さな丘程度の山だが、実は人工の山、瀋陽の故宮にも後ろに山があったが、風水の関係で、建物の回りに池や山を配置しているのだ。この山は、いざというときに備えて中身が石炭で出来ているという話しもあるのだそうだが、確認はされていない。上りの階段はさほど急ではないが、踏み板が 手前に傾斜しているので少々歩きにくい。頂上には万春亭という建物があり、中に大仏が安置されている。ここからの眺めは非常に良く、西側にある北海公園やそこのラマ教の白い塔がよく見える。南側には故宮全体が見渡せるが靄の中にかすんで遠くの建物は屋根がかろうじて見えるだけだ。万春亭の回りには土産物屋が店を開いている。玉のような小石に名前を書いたペンダントか、お守りのような物とか毛沢東語録の英語版、日本語版などがあった。しばし、写真などを撮って、再び下へ下る。傾斜した踏み板が歩きにくい、年輩の方は要注意だ。ガイドに案内されていったところは公園内にある茶店。例によって、若い女性が達者な日本語でお茶の作法やお茶の説明をしてくれる。私は一通り、説明だけ受けて、息子のトイレを口実に早々に退出した。外には小さな店があったので冷やかしに行く。たいした物はないが、赤い星のついた兵隊さんの帽子が目に付いた。早速価格を尋ねてみると30元(約480円)日本人にとってさほど高くはないが一応値切る。最終的には18元(約300円)になった。明日の長城観光には丁度いいかも(寒さに備えて)しれない。

 

万春亭

 今日の、最後の観光は古代建築博物館だ。殷、周の時代の想像図から始まって、秦、唐、明等々、各時代の建物模型や陶器、宝物などが展示されている。ここの専属ガイドが盛んに「釘を一本も使っていない」なんて自慢していたが、屋根をささえる“ます組構造”は日本の古代建築にもたくさんあるので、さほど珍しいとは思わなかった。しかし、天井の飾りには驚かされた。残念ながら写真撮影ができなかったが、天井からつるされた直径数メートルの幾層にもなった木製の組木構造の輪に、非常に緻密な彫刻が施されている。さらに奥には皇帝が座っていたという玉座が展示されていた。ガイドが「どなたか座ってみませんか」というので遠慮なく座らせてもらった。背中の部分にある、龍の彫り物先の部分が後頭部のツボに当たるようになっていてマッサージ効果があるそうだ。なるほど、具合が良い。

 その他には、紫檀で作られた食器棚のようなケースがいくつか展示されていて、内部には玉や寿山石を使った彫刻が納められていた。係員が「この石はなんというかご存じでしょうか?当たったらお土産を差し上げます」。誰も答えないので、私が「寿山ではないですか?」と答えると紫檀で作られた“孫の手”をくれた。いいお土産が出来た。彼の説明によれば、「この国宝級のケースは今月限りの特別展示で、国の許しを得て販売している。送料も通関料もすべてこちら持ち。日本では絶対にこんな値段では買えません」という...。 そういえば昨年、瀋陽の博物館でも同じようなことを言っていたなあ... 私が「50万円なら、買ってもいいよ」と言ったら、同行の人たちは、滅茶苦茶な値段を言ったと思って、半ばあきれ顔だったけど、実際の販売価格は80万円程だった。あらためて、あれが商売だったことを再認識した一件だった。

 次に連れて行かれたのは、海外有名ブランドが格安で帰るという免税店。私と息子には用はない。店の外を散策する。横の通りには家具店街があった。時代がかった豪華な骨董家具がいくつも並んでいる。一番端に書店があったので覗いてみた、残念ながら日本語の教科書は見つからなかった。そのうち、息子がパンダのTシャツをお土産に欲しいと言いだしたので、店に戻り、Tシャツを2枚購入した。

免税店

屋台の蝉・蝸牛

 その後、夕食のために王府井という、東京の銀座にあたる通りへ行く。少々時間があったので、屋台街へ行く。あるある、中国ならでは様々食材。牛、豚は当たり前、山羊、羊、サソリ、蝉の幼虫、カタツムリ...数え上げられないほどの種々様々なものが並べられ、あちこちから声がかかる。昨年、瀋陽で食べ損なった、山査子の砂糖漬け(串刺し)もある。早速買って食べてみる。梅位の大きさで小さめの姫リンゴ見たいな果実だ。味もリンゴに似ている。種も数個入っていて、やはりリンゴの親戚みたいだ。さそりは一串に3匹ついている。注文するとすかさず、その場で揚げてくれる。意外とじっくり時間をかけて揚げるようだ。味は... と言っても表現しにくい、パリパリとした食味を楽しむ食べ物のようだ。不味くはない。次にねらったのは山羊と雀の丸焼き。山羊は一見普通の焼き鳥、雀は皮を剥いて姿のまんま串刺し。やはりその場で調理してくれる。山羊は山椒に似た風味の香辛料を付けてくれた。香ばしくて旨い。雀は頭から骨もろとも食べる。可もなく不可もなし。

 

四川飯店で火鍋

さあ、いよいよ夕食だ、この日は東安門大街の四川飯店の分店で火鍋(中国風しゃぶしゃぶ)各テーブルに2つの鍋がたぎっていた。鍋は金属製で真ん中の部分が、丁度、巴の形に仕切られており、片方は薄味、もう片側は四川風の激辛味になっていた。皿で運ばれてきた食材を鍋に入れて食べる。本場の四川は初めてだ。白菜を煮て食べてみる。ものすっごく辛い!!飲み込んだ後に、むせるほど辛い。“たれ”は、ごま風味の、一見サラダドレッシングの様な物だ。息子の賢も「辛い、辛い」と言いながら肉を食べている。肉は牛、豚だ。その他、ほうれん草なども実に旨い。麺は半透明で幅広のやや腰が堅いうどんのような物。あまりの辛さにビールや紹興酒で流し込む。本当に四川の人たちは、毎日こんなに辛い物をたべているのかと信じられない思いだった。

私達(私と息子)は早めに食事が終わったので、外の通りへ出てみる。時間もないので遠くへは行けない。店に戻ったが、一行はまだ出てこないので店の入口にいた店員の女の子達と話す。若くて可愛い子たちだった。「写真を撮って送ってあげる」と言ったら恥ずかしがりながらもモデルになってくれた。ホテルから持ってきた封筒に送り先の住所を書いてもらう。

 その後、いったん、バスまで戻り、オプショナルツアーの京劇鑑賞、雑伎団鑑賞、ホテル直行の組に別れた。私たちはホテルへ直行してもつまらないので、せっかくのチャンスとばかりに、2人で買い物に行くことにした。バスに残った人たちは、二人で出かける私たちを心配そうに見送ってくれた。東安門大街の四川飯店分店から王府井大街へは、ほんの少しだ。ちょうど角に新東安門市場があったので、地下の食品売り場へ行ってみる。本当にいろんな物が並べられ、日本のスーパーと変わらないが、売っている物は珍しい物も多い。お土産用に即席のお粥とか羊羹を買う。チョコレートなども売っていたが、息子の同級生向きのパンダのクッキーを探したがみつからなかった。諦めて外へ出て別な店へ行ってみた。ここは1階が銀行になっている。地下に食料品売り場があったのだが、時間が遅く、入口にロープがかけてあった。覗いていたら若い男性店員が出てきて入れてくれた。ラッキー!ここで、ようやく息子が探していたパンダのクッキーを見つけることが出来た。疲れたので、買い物は終わりにしてホテルへ帰ることにする。

通りへ出たところで客待ちのタクシーに乗る。

運転手は30代後半か40ちょっと位のおとなしそうな人だった。お名前はグゥォーさんというと言う方、あちこちの通りの名を私が発音するたびに、ネイティブの発音を教えてくれた。会話は半分もわからなかったけれど、地元の人と話すのは非常に楽しい。もう、9時を過ぎているのに、車はたくさん走っている。ホテルまでの料金は26元(400円少々)。4元のチップをはずんで30元わたす。

部屋に戻りくつろぐ、先ほどの昼食に時に出た、二鍋頭酒を飲んで寝た。なぜか、日本で飲んだ二鍋頭酒より遙かに美味しく感じる。

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目次

1

成田〜北京

2

北京・故宮

3

万里の長城

4

北京〜大連〜成田