HUEHUKIさんのセンチュリーラン初挑戦レポート

とき:平成11年9月5日  主催:茨城県サイクリング協会  ところ:茨城県笠間市  走行距離:約150Km

今回で4回目を迎える笠間センチュリーランに初めて挑戦したHUEHUKIさんの感動のレポートです。氏は草の根パソコン通信ネット”ピッコロネット”を開設しております。このネットに書き込まれた彼のレポートは万人の胸を打つ感動的なものでした。ご本人の承諾を得て写真を交え、転載させていただきました。文中のCAMELさんは当日常陸太田市で行われたMTBレースの方へ参加されたHUEHUKIの奥様です。   (注)ピッコロネットは惜しまれながら平成14年に閉局いたしました。

*なお、長文のため掲載の都合上、原文の雰囲気を損なわない程度に編集させていただきました。

以下、HUEHUKIさんのレポートです

【 遥かなり・・・センチュリー(1)いざ出発! 】

 9/5(日) 笠間を中心に行われた「センチュリーラン」に出場してきました。朝4時40分、BIGBANさん宅前に集合。いつものケロヨンバスに自転車を乗せてもらって会場へ向かいます。

BIGBANさん、TOMさん、GREENさん、先週一緒に走ったYさん、小木津から来たAさんとその友人。少し遅れてH煎餅の若社長がE君が自走してきました。全員集合完了。5時ちょっと過ぎ笠間へ向かいました。

笠間へ着くと各自出場準備。自転車を組立て、点検を行い車検場へ行って検査を受け、出場登録確認、地図を貰います。リンゴジュースとゼリー状の栄養食品を各1ケもらう。出走前にたっぷり水を飲む。

次々と自転車を背負った車が到着します。霞ケ浦で見かけた人達もやってきました。先日の小学校同窓会で36年ぶりにあった、昔の遊び仲間も前橋からやってきました。おなじ出走グループでした。

私は、90番。BIGBANさんたちは50番くらい。1分おきに10人スターとしますのでBIGBANさんたちより4分遅れてスタートです。155km走るセンチュリーランには185人、90kmを走るショートコースには140人が出走しました。もちろん、私達はフルコースです。

出走に先立ち日本サイクリング協会、茨城県サイクリング協会等の皆さんが挨拶する開会式。笠間市長さんも出ていました。何故か、訳あって(^^) 私達は、最前列の中心位置。狙いはミス笠間(^^) 残念ながらTOMさんお好みのポッチャリタイプではなく、ちょっとオスマシ顔のロングヘアのお嬢さん。さすがにそれが目的と思われるのが嫌(らしく?)、会長さんや市長さんのお話部分でもシャッターを押す格好はする(^^;で、お嬢様登場。何やら紙に書いたような笠間の紹介をお話ししておりましたがそんなことはどうでもよい・・・(^^;;;   TOMさんは身を乗り出してシャッターを押しておりました。ちなみに、他の連中200人以上(^^; は日差しをさけて木陰におりました。はい。そんなTOMさんを私も日差しの中デジカメで熱写しておきました。(^^)

注意事項等を受けた後、すぐにスタートです。開会式が遅れたため10分遅れのスタートです。処理済みなった水をスタート直前に排出して身軽にする。スタートゲートは、笠間市「芸術の森公園南口」です。5番目に出走するBIGBANさんは、なぜか道路の向こう側で写真をとっています。やっぱりオジサマ。スタート時のミス笠間の応援風景をとっていたようです。後から聴いたらTOMさんに、その彼女とのツーショットをとってもらっていたそうです。5.4.3.2.1の秒読みでスタートします。いよいよ私の出番。今回は心拍モニターもお供します。まだ走ってもいないのに、心拍110。やっぱり興奮しているようです。

スタート直前のHUEHUKI氏(白ヘルメット)

【 遥かなり・・・センチュリー(2) スタート!  】

 最初の90kmは、とにかく体力を温存して走った方が良い! 前日そんなアドバイスをうけておりました。最長9時間で155km。平均時速20kmならいけるな・・・・そんな腹積もりで走り始めました。ヨイショッっと軽くペダルを踏み込んで・・・ と思ったら、周りはさっと行ってしまう・・・・おいおい、そんなに急いで大丈夫かよ?

同窓会の彼氏、K君は、一緒にゆっくりとスタート。「まあ、ゆっくり行こうや!」ふう、助かった・・・ とゆっくりのはずの彼に着いて走る。まあ、快調なスタートでした。先週の124kmの疲れ(足の痛み)も木曜日には取れていたし、パンク対策もした。笠間から西へ走り、一路岩瀬へ。いつのまにか集団の中で遅れもせずに走っている。平均速度は30kmを越えている。軽い下りになると40kmは出ている。何故か楽に走れているような気がする・・・・

岩瀬から南に方向を変え、左手に筑波山を見ながらの走りになる。しばらく進むと、コンビニ入り口、なにやら数人のライダーが止まっている。1台のロードレーサーが取れており、ガラスも落ちているような感じ・・・通り過ぎに話が聞こえた、同行の女性がコンビニに寄りたい!と叫んだ時、先行している男性が振り向きながら返事をしたとき、運が悪いことに道路の縁石に激突した様子。良く見るとタイヤが変形している。リタイヤ第1号かな・・・残念でした・・・ と思いながら通り過ぎる。

軽い上り下りがある。結構長めの距離。だんだんと苦しくなってきた感じがする。心拍は、150台・・・  家の練習では135前後だから、無理している感じが自分でもわかる。けど・・・周りは一向に衰えを見せない。相変わらず30kmは維持した速度で走る。とりあえず着いて走る。

すぐに第1CPに着いた。チェック印を押してもらい出口を見たら、ちょうどTOMさんが出発するところだった。オッ!  追いつきそうだ!!  早く出かけよう・・・   そんなことを考える。K君が「トイレに行っておいた方がいいぞ」とアドバイスする。けど、すべて汗になってしまったようで全然尿意を催さない。ポカリを2杯飲んですぐに出発する。「大和田さん、少し前を走っているようだよ!」とK君に言った。彼も当然BIGBANと同窓なのだ。少しペースがあがったような気がする。

少しアップダウンしているうちにR6へ出た。特に問題無しに走れる。いつのまにか筑波山が見えなくなっていた。並走する人達と抜きつ抜かれつつというような感じで走る。心拍は、相変わらず150付近。今まで経験したこともない負荷、ちょっと心配になってくる。K君は、先に行ってしまった。奴はなんだか段々元気になってくるみたいだ。

途中で腹が減ったような気がしたのでコンビニに立ち寄る。そしたらK君もそこで休んで何か食っていた。「一時間に1回休むんだ」私は、果物と生クリームが詰まったスポンジケーキを買い食べる。美味い。コンビニのネエチャンが道路に水を撒いていたのでホースから水をもらう。水筒も満タン。ここまでで手持ちの水ドリンクをあわせ2リットル近い水をとっている。汗は絶えず噴き出してくる。日差しが少しきつくなってきた。K君は先に出発。一人コンビニに立ち寄ってちょっと休んで走っていった。何となく急かされたような気分になり、再び走り始める。スタートしてから2時間半近いが休んだのは、合計で10分位。

R6を北上し、まもなく笠間に向かう道に。車も少なく快適な道である。何人か追い越して走る。但し、平坦ではなく緩い上り下りがつづく。途中で左折する部分があった。(たまたま?)案内人がおらず看板だけである。直前を走っていた女性が直進しようとしていたので、声をかけて道を教える。看板に気がつかなかったようで、お礼を言われる。数km一緒に走る。登り坂でちょっときつくなったので、お先にどうぞ! と 薦める。「ありがとうございました」と言い残しサアーと坂を登っていった・・・・。

しばらく走っていると下り坂。足の疲れが気になってきたので、ここで挽回と飛ばす。最高で65kmくらい。体重があるので慣性走行は威力抜群。700mくらいは休みながら走っていける。前方に交差点。信号は赤。先ほどの女性もストップしている。交差点に入り、並び、走り出そうとした瞬間・・・いきなり後輪からゴロゴロと例の嫌な感じが・・・

   パ・ン・ク・・・・   いやあな予感が走る

路肩に停車、修理を始める。皆が、御愁傷様みたいな顔をして通り過ぎて行く。先を行っていたはずのK君も通り過ぎて行く。「どうした!?」「パンク!  大丈夫、先に行って」

パンク修理を手伝ってくれたEさん

 気が焦りタイヤがうまく外せない。そんなところへY氏とE君が走り寄ってきた。いつのまにか彼らも追い越していたみたい。先週も私のパンクに突き合わせられたY氏は、気の毒そうに見ているような気がした。私は、お先にどうぞとお願いして先にいってもらった。K君は、ちょうど良いタイミングだから休ませてもらいます、と言いつつパンク修理を手伝ってくれた。申し訳ない気持と感謝の気持になる。携帯用の小型ポンプで空気を入れる。余計な筋肉を使ってしまったようで急に疲労感が増した。E君には先にいってもらいゆっくり走り始める。空気の入れ方が足らないようで再び停止して空気を入れる。慌ててやったためか、バルブのロック用のネジがひん曲がっている。下手すると折れるな・・・と思い慎重に空気を入れる。こんどはOK。

しばら走ると第2CP。やっとスタート点に戻ってきた。ここまで90km。12時を過ぎてしまった。先着者のチェックマークがすごく目立つ。係員も峠を過ぎたね、と言っている。パンクのロスタイムが順番だけではなく、私の戦闘意欲を落としてしまった。ももが少し突っ張っているような気がする。少し揉み解し水分を補給して走り始める。あと65km。

パンク修理で疲れた...

【 遥かなり・・・センチュリー(3) 苦難の道 】

 今回のコースは、全体で8の字の形をしている。くびれの交差部分が笠間のスタート点。ここから東北方向に進み常北町、那珂川を越え西北に進み桂大橋を越えて桂村に入り、南西方向に七会村を経由して笠間に戻る。相当に遅れたため、ここからはほとんど単独走行状態に。笠間市内でママチャリの女子高生と並んで走る。

「サイクリングってどこへ行くんですか?」

「今、筑波山を回ってきたところ。これか常北の方へ行って戻ってくるんだ」

「全部で160kmくらい走るんだ」

「エーッ・・・   じゃあ頑張ってね」

ミスコースを心配しながら走り始めるが、ここからは予想以上にアップダウンがきつい。走り始めてすぐ、右足のももがつった。道路脇に斜面で休んでいたら6人のこれまた自転車の女子高生が側を通る。「頑張ってね! 」と励まされ、手をふって応える、がちょっと痛い。

走り始めて、7、8km進んだくらいの所でいきなりとんでもない坂が現れた。乗って上がるのを諦め歩いていたら、後ろから猛烈な速度で突っ込んできた人が坂の途中でもんどりうってひっくり返った。駆け寄ってみるといきなり足がつった! と叫んで白髪の老人が足をもんでいる(* *)  バイクは、徹底的に戦闘的に仕上げているのに足はナント!!  サンダル履き・・・驚いた。

後ろからワゴン車が来て停車した。「大丈夫!  もう諦めたら?」

「ウルセー、ちょっと足がつっただけだ。なんともない」と老人が言い返した。家族がサポートしている様子。少し会話を交わしながら坂を押して登る。何回も走っているらしい。老人とはいえ、スゴイ足の筋肉。体も真っ黒に日焼けしている。赤銅色の締まった顔と、伸ばしっぱなしの白髪がヘルメットから飛び出してカッコいいジジイである。「これからもこんな坂が続くんですか?」と聞く。

「続くけどこれが一番きついかな」との返事。何となく安心する。ジイさんが先行して走っていたが途中でまた足がつったらしく休んでいた。「頑張って!」と言って先行する。走る事数km。こんどは自分の足がえらく痛くなってきた。那珂川を越える直前に右足がつってしまった。縁石に腰をかけて足をもんでいいたらサポートカーという名の回収車が停まった。

「大丈夫ですか?」

「うん、足がつっただけ。なんとかなります」「後、何人くらいいますか」

「10人くらいかな。無理しないでくださいね。先で待ってますから」

ちょっと痛い足を叩きながら走り始める。桂大橋を渡り、一見快調そうに走れる。少なくとも気力もエネルギーも十分である。軽い登りが延々と続く。日立から小木津へ走るイメージである。先行車がスピードダウンしている、「頑張って!」と声をかけて追い抜く。広い道である。ちょっときつめの登りが現れた、先が見えないので登れば下りかな?そんなことを思いながら登っていたが疲れたので停車しようとした瞬間に両足がつってしまった。

ももと脛が両足同時に硬直・・・  体が棒になってしまい猛烈な痛みでどうすることもなく、そのまま道路に倒れてしまった。バイクは道路中ほどに飛んでいった。どうしようもない状態。何もできない格好のままで横になっていた。後続が私を見つけバイクを路肩に寄せてくれた。そっちも相当に疲れている様子。「大丈夫じゃないけど、どうしようもない。構いませんから先に行ってください」そうお願いして行ってもらう。

激痛で冷や汗が全身から出ているのがわかる。とにかく体を動かせない。おまけに右の肩付近もつりっぽい、起き上がろうとしたら左手の手のひらまでつってしまった。親指と人差し指がくっついてしまい剥がせない・・・なすすべもなく道路に横たわる。素足の脛を通じてコンクリート地面の暖かさが伝わってくる。これが妙に痛みを軽くしてくれる。気持ちいい・・・

空はよく晴れている。こんなことろで、俺はいったい何してんだろう・・・

皆もこんな苦労しながら走ったのだろうか?

太田で走っているCAMELはどうしてんだろう・・・       (注 HUE.氏の奥様)

いろいろなことを考えた。

10分(多分)ほどで体を起こせるようになった。足をもみつづける。後続が時々追い抜いていく。もう最後尾ちかいかな、そうんなことを考える。広い道を走っていたがいきなり前方は狭くなり道が細くなって急な上りが現れた。乗っていくか登っていくか?  悩みながら速度を落として停車しようとした瞬間にまた両足がつってしまった。今度は、倒れ方を考えるだけの気持ちの余裕があった。休めそうな場所までバイクを転がし小さな橋のたもとが広くなっているのをみつけて倒れ込んだ(^^;

再び激痛の嵐。こんな状態にまで自分を落とし込んだのは、人生48年の中で最初だな・・・ そんことを考える。腰掛けたコンクリートの欄干が気持ち良い。少し離れたところで、稲の刈り入れの準備をしているらしい農夫が働いている。こちらのことは無縁の世界だと思っているのだろう。こちらを見ることもなく働いている。ふと心配になり心拍を見たら180を越えている。異常状態・・・

誰も来ないので、少し痛みが引いたところで歩き始める。時間は3時前。ゴール締め切りは5時。残すところ20kmもない・・・坂を登ればまた下れる、そんな気持で歩き始めたが、坂の途中で再び両足痙攣。ガードレールに倒れ掛かってしまう。身動き一つできない。救援を求めようかな、という気持が芽生える。上の方には民家があるらしく子供の話し声が聞こえる。その下の方で、全身硬直状態で固まっている太ったオジサン。何か不思議な感じがしてくる。もう一度倒れたら気を失うのかな?

そう言えば、俺は気を失ったことはないなあ・・・

倒れたのは、今日が人生初体験か、2回も経験しちまった、なんてどうでも良いことを考えたりする。皆は、もう到着しているのかな?  ちきしょう! 悔しいな。走りたい気力も体力もあるのに足が言うことをきかない・・・  なんて

バイクにもたれかかるように坂道を押して登りきってT字路に出た。角に店があった。500ccの水を二本買う。1本は、あっというまに飲み干した。もう一っ本ものみ、水筒に補充した。店の主人が出てきて話す「そうとう遅れちゃいましたね」これから先も上り下りはあるけど、笠間は近いよ、とのこと。平坦な道になっていたので進み始める。恐くて足に力を入れられない状態。短いアップダウンがしつこく続く。押して登り下りは休んみながら進む。七会村に入る。第3CPももうすぐという頃、またダウンした。

がっくりしているところにサポートカーが来た。少し話す。現時点で私が最後尾。回収車はこれが最後。あとは看板回収のトラックだけ。CPを過ぎてトンネルを越えれば後は下り坂。でも、もう限界と感じ、回収をお願いしました。

無念のリタイヤ...自転車は車上に回収..

回収記念のデジカメ撮影をお願いし、乗り込みました。先客は、二人。黙って乗っていました。交わした言葉は「お疲れ様」だけ。車中、まだ頑張って走っている仲間の顔を見ながら「もう少しだぞ!  頑張れ!」といいつつ・・・

なんと、あの白髪のお爺さんも走っていました。サポートの家族もぴったりとついています。悔しさも忘れ、驚きでした。あんなふうに走れたらいいなあ・・・羨ましさと自分の鍛練不足を実感しているうちに、完ぺきに寝てしまいました。気がついたときにはすでにゴール近く。不思議な気持ちで会場に入っていきました。

これで良かったんだ・・・・

また来年もある・・・  焦ることはないんだ・・・

ベストを尽くしたんだから・・・

 

以上が、私のセンチュリーラン挑戦記でした。

これを書き終えるころになって、涙が溢れてきて止まりません。

最後まで走りたかった・・

 

                     ☆   ♪ Нценцкi ♪

 

HUEHUKIさん、本当にご苦労さまでした。その翌年には無事完走することが出来ました。レポートは氏自身のHPに掲載されております。


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