ソーラークッカー Hand made Solar cooker

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顛末

 その昔、まだ若かりしころ、自然エネルギーに興味を持ち、風力発電やメタンガス発生装置、太陽熱温水器等を作ってみようと思っていたが、なかなか実現する機会も無く、現在に至ってしまった。当時から太陽熱で調理するクッカーにも興味があったのだが、たまたま図書館で本を探しているときに、偶然ソーラークッカーの本を見つけた。で、ネットで検索してみたところ、いろんな方が実践しているのを発見して、遊び心がむくむくと沸き上がってきました。

 設計指針として、十分に実用に耐えるパワーを発揮できる大きさで、材料に無駄の出ないサイズにするため、下記のような仕様とした。太陽エネルギーは1平方米あたり約1000W程あるそうなので、全体の効率が30%としても850W程度のパワーが期待できる。仮に40%を達成できれば1KW強のパワーを出せることになる。(注:その後、別な報告書より860W/平方mであることがわかった)

直径

1.9m

焦点距離

1m

受光面積

2.83平方米

主な材料

エスレンコア・木材・木工ボンド・金物少々

反射材

銀色のカッティングシート

 パラボラの主な材料は5ミリ厚の発泡ポリスチレンのパネル(商品名エスレンコア)と一部に木材を使用した。数年前から参加している影絵のボランティアグループに、余ったエスレンコアが、たくさんあり、これをもらい受けることが出来たのでかなりの節約になった。反射材にカッティングシートを使う関係上、シートの幅(90センチ)を有効に使うため、半径を95センチとしました。中心は殆ど平面に近いので、丸くカットしたシートを張る事にして、半径を95センチとした。

パラボラのベースとなる直径90センチのパネルは上下の面にエスレンコアを利用し、強度を確保するためにエスレンコアを20ミリ程の幅に切断した物をたくさん用意して、ハニカム構造とした。非常に手間の掛かる作業だが、出来上がったベースパネルは驚くほど軽くて丈夫な物に出来上がった。完成すると巨大なものになるため、2分割できる構造とし、6ミリのビス2本で接合する。ベースパネルの端の方に、平面を確保するための位置決めのダボをとりつけている。

放物面は、精度を向上させるためと材料の強度が弱いために、全体を36分割の曲面とし、10度毎にリブを付けました。リブの厚みは5ミリしかないので、放物面に張る36枚の三角の板はほんの少し大きめの治具で切り出してから一枚一枚サンドペーパーで調整して張り付けました。組み立ては全て木工ボンドを使用しました。ベースのプレートにリブを張り付ける作業は精度を出すことと、接着剤が乾くまで治具で保持しなければならないので、かなりの時間をかけました。集光力に影響する部分なので丁寧に仕上げます。

 反射面は銀色のカッティングシートを採用した。パラボラ面のエスレンコアを切り出すときに使った治具を使って、少しオーバーラップするように若干幅広にカットする。反射効率はステンレス板等に比べると多少落ちると推測されるが、入手の容易さと加工性の良さ、さらになんといっても軽量であることに重きを置いた。しわになったり、気泡がはいらないように細心の注意が必要です。予定では90センチ幅のシートを約4m程使う予定だったのですが、小口の切り売りが無く、1ロール(20m)の物しか入手できないとのことで、急遽50センチ幅(20m)の物を使用しました。残念ながら、かなり無駄が出てしまった。

完成したパラボラは、中心にあるアイナットを掴んで、片手で容易に持てるほど軽くできました。(重量は計測していない)中心に航空ベニヤで作った内径9センチ程のパイプを入れてあります。架台の方に直径9センチの紙パイプ(カッティングシートの芯)を付けておき、これに差し込む構造としました。

架台は手近にあった合板の端材を利用して作った。太陽の高度に合わせて自由に仰角を調整できるようにしている(当たり前ですけど...)背面に、取り外し可能な、木製のハンドルをつけている。架台の下部の緑色のロープは架台が広がりすぎて転倒するのを防止するフェイルセーフ。仰角調整用のバーは長短2種類用意してある。(仰角が小さい時に長いバーが後方に出過ぎて出過ぎて邪魔になるため)

以下に細部の写真を掲載する 
架台と背面から見たところ
1 照準器
2 傾斜計と照準器
3 仰角調整部
4 照準を覗いたところ
照準への光の導入部(パラボラ面に穴を開けただけ)

1 正確に太陽に向けるためにアルミパイプで照準を付けた。仰角調整バーを操作するときに見やすいように、プリズムを取り付け、その直前に十字線のつけたスクリーンを入れている(実際にはそれほど正確に太陽に向ける必要はありません、気分的な問題です)

2 照準の横に傾斜計を取り付けた。これも特に役には立たない。

3 ステンレスの水道管とブッシュを利用した仰角調整部

4 照準器は太陽を直視しないようにスクリーンを入れました。

完成後、やかんで湯を沸かしてみた。3月初旬の晴天、午後1時頃という条件で、約1リットル程度の水が10分もかからずに沸騰した。やかんは薪ストーブで使用していたのでうまい具合に底の部分が煤で黒くなっています。焦点の位置にやかんを持ってくるだけで一瞬煙が上がりました。試しに、焦点部に木片をあてがうと、わずか1秒で発煙し、10秒以内に炎を上げて燃え上がる、思った以上のパワーがあり、十分に期待できそうだ。廃材やもらってきたエスレンコアを使ったのでカッティングシートを除いた費用は、L金具、ゴムタイヤ、木工ボンド等で、2000円札一枚でおつりが来た。カッティングシートは、まだ請求書が来ないので戦々恐々としている。これから、鍋や釜を載せる架台を製作する予定。初夏の陽射しが楽しみだ!

2005/3月21日 架台をより使いやすくしました

最初に製作した架台は余っていた端材を利用したので、かなりごつい作りになってしまった。本体よりも架台の方が遙かに重いし、嵩張って移動にも不便だ。太陽の動きを追うのにも重さがネックとなって自由度が低い。そこで、最近全然使わないのに、車に積みっぱなしなっていたアルミの脚立を流用し、小型軽量の架台を作ることにした。この脚立は、梯子にならないタイプなので、脚部を70度程度まで開くことが出来るように蝶番のストッパー部を一部切断して大きく開脚できるようにしました。仰角の調整部は写真のように自動車のジャッキを参考にしてネジの回転で調整出来るように工夫しました。その結果、大きく仰角を変えても邪魔な出っ張りが出なくなって非常に使いやすくなりました。ハンドルは旋盤の送りハンドルを流用しました。仰角の調整もネジで微動できるので非常にスムースで具合がいいです。使わないときは目一杯に上げ、占有床面積を最小にしておきます。移動するときは、仰角を最大にしてパラボラ面が水平に近くなるようにし、移動用の木の棒を取り付けると前方の視界を遮ることなく簡単に移動できます。タイヤは前側2個のみとしました、軽くなったので、後ろは持ち上げて移動できます。ただタイヤが小さいの長距離の移動には向きません。

改良型架台
仰角調整機構(未塗装です)

 仰角調整機構のネジは12*285ミリの全ネジを使用し、先端には8ミリのタップを立ててボールベアリングを装着しました。スライドするネジ部分は真鍮の丸棒から削りだして12ミリのタップを立てました。後端のハンドルは同じく8ミリのネジで取り付けています。各アーム類は、5ミリ厚の鉄のバーで作りました。ネジ部にはたっぷりとグリスを塗っておきます。

最初に作った架台は仰角の調整が面倒でしたが、この新型は、片手で軽く調整できるので、非常に取扱いが簡単になりました。また、軽くなったので方位の調整もスムーズです。パラボラ面センターのアイナットはパラボラを架台に脱着するときに、パラボラを正面から保持すると、架台側のダボがパラボラの陰になって見えなくなってしまい、装着するのが困難なので、ロープで吊って裏側に回って装着します。この方法で一人で脱着出来るようになりました。パラボラ単体を運ぶ時の取っ手となります。 

実際に使用してみました。小型のやかんですが、満タンでも5〜6分で沸騰しました

やかんを吊っている台は自転車の整備用の物です好天に恵まれ、目玉焼きのフライパンは10数秒で触れなくなるくらい熱くなりました。全体的にかなり軽くなったので逆に強風の時は吹き飛ばされそうです。照準器は太陽を追尾するには非常に有効でした。また、脚立の下面にショルダーストラップを取り付ければ一人で運搬できそうです。(かなり恥ずかしい姿になりそうですが...)

照準器はパラボラのベースに直接取り付けました

重量を計測してみました。

パラボラ本体(照準を取り付けた状態で)

5.1キロ

架台

7キロ

合計

約12キロ

4月7日 快晴 やや風あり 

どの程度のパワーが出ているのか計測してみました。水温の測定はデジタル温度計でセンサーをステンレスパイプに封じ込めた物を使用しました。

所用時間と上昇温度(開始時刻・13:30)

開始時の水温
18.8度
終了時の水温
98.8度
所用時間  
11分

結果  水量1リットル、温度差80度で11分ほどかかりました。水が得たカロリーは80×1000で80000カロリーです。所要時間660秒で割ると、約121カロリー/秒となり、1カロリーを4.2ジュールで計算すると121×4.2=509(ワット)ということになります。3月に湯を沸かしてみたときは正確に時間を計測していなかったので早くわいたような気がしたのですが、期待した程効率は良くないようで、18%との結果がでました。開始直後はみるみる温度が上昇したのに、90度を越えてから温度の上昇速度がやや遅くなったようでした。殆ど沸騰直前まで温度を上昇させてしまったため、気化するための潜熱により余分なカロリーを取られてしまった可能性も考えられます。計測の終了後、パラボラ面をよく見ると、かなりの量の花粉が付着していました。これも効率を下げる一因と思われます。後日、あらためて計測してみます。(太陽エネルギーを860W/平方mで計算すると約21%となりますが、それでも効率悪いなあ...)

試しにステーキを焼いてみました。普通のフライパンの感覚で調理できました。
塩・胡椒のみのシンプルな味付けですが、非常に美味しく食べられました

考察

その後、ネットでいろいろ調べているうちに、数年前に愛媛県総合科学博物館 友の会科学クラブでも直径2mのパラボラによるソーラークッカーを試作したという記事を発見した。それによると鏡面にはステンレスの板を使用して円周を36分割したほぼ拙作と同じ規模の物で実験を行っているが、効率は約10%程度しか得られなかったとありました。またガラスに銀鏡で作った反射面で効率約40%前後という報告もあり、カッティングシートでは到底40%の効率を得ることは不可能に近いと思われます。しかし、私のパラボラでは現在の所、20%強を得ており、そこそこ実用の域に達しているのかと自負しております。次回は潜熱の影響を受けないような方法で、もう少し詳しく測定してみようと思います。

最後の顛末 平成20年9月 新宿へお嫁に行きました。さぼっていたため、結局最終的なパワーの計測は出来ずじまいでした。

製作して数年間は、時々組み立てて、BBQ等を行っていたが最近、あまり出番が無い。ひょんな縁からソーラーエネルギージャパン様のおはからいにより、新宿のエコギャラリーという施設に展示されることになりました。今後、エコギャラリー様でのイベントで時々、実演を見る事ができるようになります。御期待下さい。市販されているソーラークッカー、キラピカシリーズも見学することができるそうです。

ソーラーエネルギージャパン

新宿 エコギャラリー

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