6. 3月17日 チュニス/シディ・ブ・サイド 

ぐっすり眠れた。まだ夜も明けていない。荷物を整理して出発準備を整える。時間があるので、カメラ片手に外へ出てみる。ホテルの中庭には子供の遊具やらテニスコートまである。その先は海だ。この海岸には白い砂浜があるだけだ。小さなヨットが浜へ引き上げられていた。朝日が雲の隙間から顔を出す。写真を撮っていたら、ツアーにご一緒の女性の方がやってきた。(お名前は伺いそびれた)私のことを“旅慣れていらっしゃるようなので、ちょっと付いて来ちゃいました。思いがけず、こんな景色を眺めることが出来て良かったです”と、おっしゃる。

 波打ち際には、なにやら植物の繊維が絡まったよぅな丸い不思議な物体がたくさん漂っていた。大きさは様々で、梅干し程度の物から石鹸くらいの物まであったが、その正体は未だに不明だ。部屋へ戻って、荷物を廊下へ出そうとして、部屋を出た途端に開け放したベランダから吹き込んだ風のおかげで、ドアが勢いよく閉まってしまった。まっ、まずい!キーは室内に置いたままだ...。しかし、冷静に考えてみたらベランダが開いている。先ほど庭へ出たドアから外へ出てベランダから無事、部屋へ戻ることが出来た。2階以上だったらアウトだったな、やれやれ。

 朝食を済ますと、自由行動でMさんとメディナへ出かける。歩き回っているうちに建築関係のお仕事をされているというSさんご夫婦と出会った。4人で狭い路地をあちこち歩き回る。裏路地の建物はドアや窓はかろうじて綺麗なブルーに塗られているが、外壁はあちこち剥げたりコンクリートむき出しだったりの所が多い。                   メディナの様子→

 工事中の建物をよく見ると、どうやら壁に使われている煉瓦と床に使われている煉瓦は若干形が違うよううだ。床用の煉瓦は壁用と同じように穴が開いていて、ところてん式で作るのは同じようだが、左右の端が緩いカーブの山形になっていて、隣の煉瓦との間に隙間が出来るようになっている。工事をするときは、下から鉄パイプの棒で支えておき、煉瓦の隙間に鉄筋をいれてコンクリートを流し込んでいるようだ。まあ、床に鉄筋が入っているのを見て、いくらかほっとした。こんな建物じゃ1階に寝ても、5階に寝ても、積み木の中にいるような物だもんね。何かあったらひとたまりもない。よほど、地震が少ないのだろうなあ..。

 集合時間には、まだいくらか時間があったので、8世紀に作られたというリヴァトと呼ばれる砦の監視塔に登ってみる。狭い螺旋階段を上り詰めると、スースの町並みが一望できる。実に眺めがよい。下を覗くと、一行はそろそろ戻ってきていた。下へ降りるとまだ数人が戻ってきていないらしい。その隙に、近くにあった有料トイレをチェックに行く。“小”は同じだったが、“大”の方は、ようやくそれっぽい形の物を発見。写真がそのトイレだ。ご覧の通りきんかくしがついていない、トルコのトイレもこんな感じだった。お尻を洗う水道があるかどうかはチェックしそびれた。ドアの影にでもあったのかなあ?

リヴァトの頂上

公衆トイレ

 全員揃うと、今度は隣のグランドモスクの見学。このモスクはケルアンのモスクを模して造られているそうで、雰囲気は非常によく似ている。しかし、全体に小振りで、塔も小さく、低い。石の柱の根本には、後から付けたのだろう。ライトアップ用の小さな照明が埋め込んであった。建物の入り口には、一見してそれと解る、“室内では携帯電話禁止”の看板がぶら下がっているのが現代らしい。

 さて、バスはいよいよ最終目的地チュニスへ向かう。スースからはわずか150キロ、しかも高速道路があるので移動は快適だ。高速道路上にはサッカーの試合を観戦に行くサポーター達の車やバスが大挙して走っている。その熱狂ぶりはすさまじい。窓を開けて支援チーム旗を振るなんてのは、当たり前。窓から体半分乗り出していたり、高速道路でドアをあけたまま走っている車さえある。チュニジアのサッカー熱もかなりのものだ。

 

 チュニス市内へ到着。明日のスケジュールを楽にするために、明日に行くはずだった、シディ・ブ・サイドの街並みを見学に行く。シディ・ブ・サイドというのはチュニジアのイメージにぴったりの白い壁に青い窓の建物が軒並み並んでいる観光名所。ここには、かつて、モーパッサン、アンドレ・ジイド、クレー等の著名な作家や芸術家が好んで訪れたという世界最古のカフェの一つと言われる“カフェ・デ・ナット”という店がある。メインストリートは、なだらかな坂になっていて、下から登っていくとカフェ・デ・ナットのテラスが見える。しかし、世界の文豪が訪れた場所という割には感激は無い。カフェ・デ・ナットの手前の、別なカフェでミントティをサーブしてくれるというので行ってみた。小さな門をくぐった中庭は観光土産物屋を兼ねており、驚くほど綺麗だ。アラブ風の蝋人形が展示され、当時の風物を見せてくれる。この店のオリジナルというクジャクの羽に描かれた絵は緻密で非常に素晴らしい。

ティータイムが終わると自由時間。坂を登ってカフェ・デ・ナットの先に行ってみる。特に目新しい物は無いが、海の方へ下れそうな路地を降りてみた。しかし、個人の住宅へ続くのみで海へ出ることは出来なかった。道は自然に元の通りへ戻ってしまう。10分ほど行ったところで小高い丘の上にある見晴らしの良いところへ出た。ここからは海が一望できる。風が清々しい。土産物売りの若いお兄さんがピーナッツを差し出す。一個囓って、“いらないよ”と素振りを示すが、なかなかゆずらない。 そのうち、なにやら小銭を出して何とか言っている。よく聞いてみると、日本の1円玉を欲しがっている。コレクションしているらしい。だが、残念なことにこんな所まで1円玉なんか持ってこないよね...。辺りに来ていた、同行の人たちにも聞いてみたが、さすがに誰も持っていなかった。

昼食はシディ・ブ・サイドの近くのレストラン

 ハリッサをオリーブオイルで溶いたペーストが出ていた。パンにたっぷり付けて食べる。やみつきになりそうだ。スペシャルドリンクは、初めて出てきたフレッシュオレンジジュースを頼む。これが実に美味い、ビールよりも高い3.5 D。しかし、このうまさはその価値がある。もう一杯お代わりをしてしまった。2杯目のグラスは、どういうわけか一杯目よりも大きなグラスにたっぷり入っていた。

 何か、お土産を買いたいという人たちの要望もあって、現地ガイドの粋な計らいで、郊外のスーパーマーケットに連れて行ってくれることになった。かなり大きなそのスーパーはなんと“カルフール”。女性たちは大喜びで店内に入っていった。少し離れて、後ろから見ていると店に入ってからも、ぞろぞろと列をなして団体行動...おもわず、笑っちゃいそう(ご免なさい)。現地の人も異様な目で見ている。そりゃそうだ。日本人が40人以上も大型バスで買い物に乗り付けたのだから....それでも、やっぱりスーパー。すぐにバラバラになったようだ。私は石鹸の売り場を探ってみたが、トルコで買ったようなナチュラルなオリーブオイルの石鹸でも買って帰ろうと思ったが、見つからなかった。工業製品の普通の石鹸じゃあ、面白くないしね.. 酒でも買おうと思って酒の売り場を探すと、さすがにモスリムの国。酒のコーナーは、ややわかりにくい場所にあって、周りを壁で囲まれている。さすがにスーパーだけあって、色々な種類の国産ワインやブッハ等が在庫している。当然輸入物の酒も多少はおいてある。探しているSIDI SAAD (チュニジアの高級ワイン)は見つからない。丁度、そこへ若い店員が大量の品物を運んできて展示しようとしていたので、SIDI SAADは有るか?と尋ねてみた。一通り売り場を探した彼は、どこかへ姿を消し、戻ってきたが、在庫はないという。残念! 持ち帰っても良いかなあと思っていたティヴァリンも無かった。結局スーパーでは何も買わず、レジの外にあったテナントのハーブ店でアロマテラピー用の香を少々買い求めた。

 

 バルドー博物館 チュニス市内に戻り、バルドー博物館へ向かう。この博物館はモザイクのコレクションで有名だ。タイルが作られる以前のモザイクなので、材料は色々な色の付いた小石で作られている。その巨大さ、精密さは目を見張るばかり。短時間ではとても見きれない。途中で集団を抜け出して、面白そうな所を一人で見て回る。あまり人気のない2階のブースへやってきたら、手持ちぶさたそうな館員が手招きして、私を呼ぶので行ってみた。そこはイスラムの王家の部屋で入り口にロープが張られている。ところがその館員はさらに手招きし、中へ入れという。遠慮なく入らせてもらい見学させていただく。そのうちマンツーマンで、あちこち連れ回って解説を始めた。そろそろ集合時間なので礼を言って立ち去ろうとしたら、チップを要求されてしまった。申し訳ないが、ポケットを裏返して、“持ってませ〜ん”のポーズを取ると解放してくれた。

市内へ戻ってくると、今日のサッカー試合の勝ちチームのサポーター達が戻ってくるところだった。それこそ、クラクションを鳴らし、馬鹿でかい旗を振りながらアピールしている。日本ではあんな光景は見たこと無いなあ。もっとも、私が住んでいるのはそんなのとは縁のない田舎だからね。

巨大なモザイクの床

 宿泊はチュニス中心部にある5つ星のエルハナインターナショナルホテル。例によって荷物の少ない私たちは、すぐに部屋へ荷物を置いて外出することにした。エレベーターで9階へ行こうとすると、どうしても9階のランプが点灯しない。致し方なくランプがつく最上階7階のボタンを押す。7階で降りようとしてもドアが開かず、下から呼ばれたエレベーターは再び1階へ...一度ドアが開いたが7階のボタンを押して7階へ向かう。今度はようやくドアが開いた。7階で飛び降りるようにエレベーターホールへ出る。そこから9階まで階段を登る。どうにもレスポンスの悪いエレベーターだった。部屋はチュニジアンブルーのカーテン、シーツカバーなどブルーが多用されている。そういえば、意図したわけではないが、今回の私のバッグもチュニジアンブルーに近い色だなあ。窓からの眺めはさすがに首都。いろいろな建物が密集している。

首都チュニス

エルハナの部屋

 Mさんの下調べで、ホテルの前にスーパーがあるとのことなので、期待してくり出した。外は、まだ明るいがちょっと小雨が降っている。まずはブルギバ通りを向こう側へ渡ってスーパーの有るはずの場所へ行ってみる。大きな建物はあるのだが、どうもスーパーらしき建物は見つからない。日曜日の夕方とあって、もう閉店してしまったのだろうか?メディナの方向へ、しばらく歩いたが、それらしき所も見つからないので、ホテルの方へ戻る。ホテルの正面の建物の前には大勢の男女が集まっていた。どうやら劇場のようだ。今夜は、誰か有名な人の公演でもあるのだろう。そのままホテルの前を通り過ぎてしばらく行くと、道路の中央に巨大な時計塔が建っていた。時計塔の周りは、緑の植栽と噴水があってロータリーになっている。まだ、例のサッカーの試合で勝ちチームとなったサポーターの車がクラクションを鳴らしながら旗を振り振り走り回っている。時計塔をぐるりと回り込んでみると、向こう側に、入り口があって人が立っていた。もしかすると時計塔に上れるのかもしれないと思って信号を待っていたら、件の人が入り口の鍵をかけて帰ってしまった。残念、ちょうど5時。もう終了なのだろう。今度はホテル側の通りをメディナの方向へ向かう。さすが首都の夕方、大勢の人々が歩いている。しかし、荷物らしい物を持っている人は殆どいない。ホテル前をさらに通り過ぎてメディナへ行ってみることにした。

 ホテル前からは数分の絶好の場所だ。メディナの東側の入り口、ババウ・ブハール(フランス門)からラ・カスバ通りへと踏み込む。しかし、残念ながら、店はほとんど閉まっている。所々パンなどの食べ物を売っている店だけがポツンと開いている。まさに迷路だ。迂闊に踏み込んでいくと帰り道が解らなくなりそうだ。とりあえず、道に迷わないように真っ直ぐに進む。行けども行けども、同じような感じで開いている店はない。適当なところで引き返す。でも、横通りから大勢の人が歩いて出てくる通りもある。角の目印を頭に入れながら、何があるのかと二人で行ってみる。2〜3回角を曲がった所にある通りの人通りがやけに多い。その通りへ踏み込んだ途端に、ドアの開いている建物があって、中に2人の女性がピンク色の薄物を着て、立っていた。すぐに売春宿と気が付いたが、この先の界隈一体がすべてそうなのだと言うことにすぐには気づかず、ついつい先へ進もうとしてしまった。ところがドアの前にいた老婆が、Mさんの方を見て人差し指を立てて横に振り、“ここから先は女人禁制”の合図をした。はっと気が付き、すぐにその場を立ち去った。私が感づくのが遅かったとはいえ、Mさんには申し訳ないことをしてしまった。彼女は“あたしが来ちゃいけない所”ってすぐに気が付いたそうだ。まあ、何事もなかったのが幸いだ。彼女は“中の二人は、胸元の谷間まであらわなアラビアンナイトに出てくるシエラザードの様な衣装を着ていた”と後から報告してくれた。もと来た道をホテルの方へ戻る。メディナの中には、いくつもの小さなホテルがある。自由旅行でくれば、こんな小さなホテルに泊まってみるのも楽しいだろうなあ。

 

 一応エルハナへ戻り、夕食を摂る。今宵は、いよいよ、チュニジア最後の夜とあって、一同おおいに盛り上がり、食事が済んだ後も、なかなか部屋へ戻らない。そのうち添乗員さんが、その場にいた人たちに、下のバーで飲み直しましょうと声をかけ、飲み足りない人たちがバーへ移った。おおむね12〜3人が移動したのだが、バーではワインは無いらしい。そこで、やむを得ずもう一度レストランの方へ行くことにした。レストランへ戻った一同は、勝手にテーブルを集め、たちまち宴会席の出来上がり。ワインや、例のティバリン、ブッハ、その他のカクテルなどで、夜11時過ぎまで積もる話に花開いた。

 部屋へ戻って、風呂へ入り、ゆっくりと旅の疲れを流す。もう、明日の晩には飛行機だ。ズボン、靴下その他、不要となった衣類をすべてランドリーバッグに入れて処分する。もう、家にたどり着くまで着た切り雀だ。でも靴下だけは一足余分が欲しかったなあ..今から洗濯しても明日までには乾きそうにもない。やはり薄い物で良いから一足余分に持ってくるべきだ。今日までの写真データを整理して、CDRに焼いてみる。しかし予想以上に時間がかかり、とても皆さんに配布するほど焼けそうにもない。何しろデータ量が500MB近いのだ。やむを得ず、見本に数枚だけ焼いて、欲しいという方に、送り先だけ書いてもらうことにした。

TOP

目次

INDEX

TUNIJIAのTOP

1

1日目

2

2日目

3

3日目

4

4日目

5日目

6

6日目

7〜8日目